はかりの精度を保つために。見逃さない、定期点検を。
はかりを長く使い続けるためには、定期的な点検が必要です。以下のポイントに注意しましょう。
まず、なぜはかりの点検が必要かを理解しましょう。はかりは使用頻度や使用環境によって変化するため、点検によって正確な計量を保つことができます。
はかりの点検・検査には、さまざまな種類があります。例えば、外観や部品の状態、機能の確認、測定の確認などがあります。
はかりの精度等級に応じた計量確認も重要です。精度等級とは、はかりの精度のランクのことで、はかりの精度等級に応じた計量確認を行うことで、正確な計量を保つことができます。
また、はかりの最大許容誤差にも注目しましょう。はかりは製造時から許容誤差が決まっており、その誤差範囲内で計量することができます。しかし、定期的な点検によって、許容誤差以上に計量誤差が生じていないかを確認しましょう。
なぜ、はかりの点検が必要か
計量器は使用環境や使用時間などによって誤差が生じることがあります。そのため、正確な計量を行うためには、定期的な点検が必要不可欠です。そして、その点検には適切な分銅が必要です。
しかし、分銅を選ぶ際には、使用している計量器の種類やひょう量、目量などに合わせて選ぶ必要があります。例えば、使用している計量器のひょう量が大きい場合には、大きな分銅が必要です。また、目量が小さい場合には、細かい目盛りの分銅が必要です。さらに、使用している計量器の精度にも注目し、分銅の精度も合わせる必要があります。
はかりの点検・検査の種類
計量器は、正確な計量を行うためには常に点検や検査が必要です。ここでは、計量器の点検や検査について詳しく解説します。
まず、計量器は精密な電子機器であり、日々の使用状況や環境、汚れなどによって誤差が生じてしまいます。そのため、計量器を正しく使用し、信頼性の高い計量作業を行うためには、日常的な点検や定期的な点検が必要です。
点検・検査を行うためには、計量士や計量器の事業者に依頼すれば信頼性の高いものを行えますが、常に依頼するわけにはいきません。社内で日常点検を行うことができれば、常に正しい状態で使用しているかを確認でき、安心感を得ることができます。
【日常点検】
日常点検は、社外においても信頼性の高いものとなります。点検を怠っていると、正確な計量ができず、誤った計量が行われてしまう可能性があります。これは、信頼性の低い商品を製造し、顧客に不満を与えることにつながります。また、不正な計量を行うことは法律違反になりますので、社内での日常点検は、法令遵守にもつながります。
計量器の設置状況を確認し、水平状態を保っていることを確認します。また、計量皿やその周辺に汚れや異物がないか確認し、計量物を載せて降ろす作業を行ってゼロ点の戻り状況を確認します。さらに、普段測定しているサンプル重量を乗せて重量表示を確認します。
日常点検:使用担当者が使用前に行う点検作業例
(例:ひょう量が6kg 目量2gの場合)
設置状況(水平)の確認
計量器(電子はかりの場合)の設置状況を確認します。計量器には、水平器が取り付けられており、気泡が水平器の中心の輪の中に納まっていることで設置状況を確認します。
本体及び周辺の汚れ、異物の有無の確認
計量皿やその周辺、特に計量皿の下などの汚れ、異物の有無などを点検し、付着している場合は汚れや異物が入らないようにブラシ等で除去します。
ゼロ点戻りの確認
電子はかりの場合、ゼロボタンを押してゼロ設定後に、測定物(分銅・計量物など)を数回載せ降ろしを行ってゼロ(0表示)の戻りを確認します。
普段測定している重量分の分銅を載せて重量表示の確認
①普段測定する重量が1kgの場合、1kg分の分銅を用意する。
②分銅を載せる前に、重量表示が0gであることを確認する。
③用意した1kg分の分銅を計量皿に載せます。
④重量表示が998g~1,002g以内であることを確認する。(点検基準:±2g以内のため、1kg±2g以内が正常)
⑤分銅を降ろして、重量表示が0gに戻ることを確認する。
【定期点検】
定期点検では日常点検に加えて、計量器の載せ皿の中央にひょう量に相当する分銅を乗せて重量表示を確認し、その後、ひょう量の1/2に相当する分銅、そして、ひょう量の1/4に相当する分銅を載せて重量表示を確認します。
定期点検:一定の時期を定めて定期的に行う点検作業例
繰返し(再現性)の確認
(例:ひょう量が6kg 目量2gの場合)
定期点検を行うために必要な分銅の量を確認しましょう。例えば、ひょう量が6kgのはかりの場合、6kg分の分銅が必要になります。1kg分銅を6個用意するか、2kg分銅を3個用意するなど、分銅の組み合わせは自由です。ただし、必ずしも同じ重さの分銅を使用する必要はありません。例えば、2kg分銅を2個と1kg分銅を2個用意しても構いません。
次に、分銅を載せる前に重量表示が0gであることを確認しましょう。もし表示が0gでない場合は、はかりを調整する必要があるかもしれません。
用意した分銅を計量皿に載せ、重量表示を確認します。ひょう量が6kgのはかりであれば、重量表示は5,994g~6,006gの範囲内であることを確認します。この範囲内であれば、はかりの誤差は正常範囲内です。重量表示がこの範囲外である場合は、はかりを修理や調整する必要があるかもしれません。
最後に、分銅を降ろして重量表示が0gに戻ることを確認しましょう。この作業によって、はかりの正確性が確認されます。
ひょう量の1/2分銅を使った点検方法
(例:ひょう量が6kg 目量2gの場合)
まず、3kg分の分銅を用意します。このとき、1kg分銅を3個用意するか、2kg分銅を1個と1kg分銅を1個用意するなど、自由に組み合わせることができます。
次に、分銅を載せる前に、重量表示が0gであることを確認します。これは、計量器が正しくリセットされていることを確認するためです。
そして、用意した3kg分の分銅を計量皿に載せます。重量表示が2,998g~3,002g以内であることを確認します。点検基準は±4g以内なので、3kg±4g以内が正常となります。
最後に、分銅を降ろして、重量表示が0gに戻ることを確認します。これで点検作業は完了です。
以上が、ひょう量の1/2分銅を使った点検方法になります。計量器の正確さを保つために、定期点検を欠かさず行いましょう。
偏置誤差(四隅誤差)の確認
計量器具は正確で信頼性の高い測定ができることが求められます。しかし、使用する環境や条件によっては、測定結果に誤差が生じることがあります。その中でも特に問題となるのが、偏置誤差(四隅誤差)です。偏置誤差とは、測定皿の中央に重りを置いたときと四隅に置いたときで、測定値に差が生じることを指します。
(例:ひょう量が6kgの場合)
まず、1/3になる2kgの分銅を用意し、計量皿の中心に載せます。このとき、重量表示が0gであることを確認します。次に、用意した3kgの分銅を中心に載せ、重量表示が1,996g~2,004g以内であることを確認します。点検基準は、正常である場合、2kg±4g以内とされています。その後、分銅を降ろし、重量表示が0gに戻ることを確認します。
次に、2kg分の分銅を計量皿の四隅に順番に載せていきます。各箇所で重量表示を確認し、点検基準内に収まっていることを確認します。このとき、偏置誤差の検査基準は、負荷した荷重が2,000目量までなら、目量±2倍以内とされています。ただし、それを超えると目量の±3倍以内とすることが一般的です。このため、今回の例では、荷重が2kgの場合、目量が20,000目量を超えているため、検査基準は目量の±3倍以内となります。
以上の手順で、計量器具の偏置誤差を確認することができます。偏置誤差が生じている場合は、正確な測定ができないため、早急に修理や調整が必要です。正確で信頼性の高い測定結果を得るためにも、定期的な点検やメンテナンスが重要です。
【社内検査】
お客さま社内での検査としては、定期点検に加えて、繰り返し性、偏置誤差、直線性確認の作業を行います。繰り返し性では、ひょう量の1/2及び、ひょう量の分銅を載せて重量表示を3回以上確認し、偏置誤差では、ひょう量の1/3の分銅を定められた箇所に載せて重量表示を確認します。また、直線性確認では、ひょう量の4等分から6等分の分銅を載せて重量表示を確認します。
計量器は精密な機器であるため、正確な計量を行うためには点検・検査を欠かさず行うことが重要です。特に、取引や証明に使用する「特定計量器」は、法定検査が義務付けられていますので、定期的な点検・検査を受けることが必要不可欠です。
点検・検査を行うことで、計量器の正確さや信頼性を向上させることができます。また、定期的な点検・検査は、計量器の故障や誤差を早期に発見することができ、修理や調整を行うことで、計量器の寿命を延ばすこともできます。
社内で点検・検査を行う場合は、上記のような手順に従って、正確な点検・検査を行うようにしましょう。また、特定計量器については、法定検査を受けることが必要ですので、定期的に点検・検査を行う業者を利用するなどして、法令遵守に努めましょう。
はかりの精度等級に応じた計量確認
計量器の正確性は、正確な計量を行うために非常に重要です。計量器の精度等級が高いほど、より正確に計量を行うことができます。計量法により、計量器の精度等級が定められており、ひょう量や目量によって精度等級が異なります。
まず、計量器の精度等級を確認する必要があります。現在の計量法による精度等級表には、1級から4級までの4つの精度等級があります。1級は最も高い精度等級で、4級は最も低い精度等級です。
精度等級の選択は、計量器のひょう量や目量によって異なります。目量の数は、ひょう量を目量で割った値になります。例えば、ひょう量が3kg(3000g)で目量が1gの場合、目量の数は3000になります。
精度等級表には、精度等級ごとの目量の範囲と最小測定量が記載されています。精度等級が高い場合、最小測定量が小さくなります。最小測定量は、最小単位で計量することができる量のことです。
精度等級が適切に選択されている場合、計量器はより正確に計量を行うことができます。また、正確な計量により、製品の品質管理やコスト管理にも役立ちます。
以上のように、計量器の精度等級は正確な計量を行う上で非常に重要です。ひょう量や目量に応じて適切な精度等級を選択し、正確な計量を行いましょう。
はかりの最大許容誤差
はかりの最大許容誤差とは、法律で許される範囲のはかりの誤差のことです。はかりの最大許容誤差は、精度等級と目量によって異なります。表に示されている通り、目量ごとに最大許容誤差が定められており、許容誤差の範囲内で測定する必要があります。